「鉄道事故裁判に詳しい弁護士は億単位の巨額の賠償金を請求されるというのは都市伝説」

「鉄道事故裁判に詳しい弁護士」 

鉄道会社は基本的に裁判は起こさない。

示談・相続放棄などで裁判に至らない。  

「女性専用車両は男性の目がない分、女性同士の小競り合いが想像以上に多く、なるべく乗りたくない」

原則として、鉄道会社は電車を遅延させた本人や遺族への裁判はやらない

飛び込み自殺によって大幅な遅延が生じた場合、鉄道会社は大抵、遺族に接触はしているはずです。具体的には、「今回の件でこれだけの損害が発生しました。どうしましょう」と遺族側へ打診する。

ケースバイケースでばらつきがありますが、結論から言うと私が知る事例は数百万円単位。仮に増えても1000万円単位ではないかと推察されます。

鉄道事故の賠償金がどのように計算されるか考えてみると、まず、

①車両の修理代
があります。また、特急などの場合は

②遅延による払い戻し代
も発生します。さらに、

③現場の清掃のためのコスト
が掛かります。

④他の鉄道会社やバス会社に払う振替輸送代

も必要です。このため、合計額がいくらになるかは、遅延させた時間がラッシュか、輸送量の少ない昼かでも違ってきます。

場所が首都圏で、ラッシュ時に生じた遅延で何十万人の足が止まったなら、損害額が1000万円単位になってもおかしくない。

鉄道会社の裁判は、電車遅延の原因を作った本人は亡くなっているので、相続人に対し、故人の遺産から賠償金を払うよう民事訴訟をすることになります。

裁判をやっても意味はありませんから、鉄道会社はここで諦めざるを得ません。相続放棄をすれば裁判所から受理証明書が出ますからそれを鉄道会社へ持って行って、全て終了でした。

多くの場合は、賠償請求の交渉は裁判に至る前に決着する、と。自殺の場合、交渉の段階で親族側は故人の遺産から払える額なら払えばいいし、払えなければ相続放棄をすればいい。いずれにせよ、遺族として、遺産以上の損害賠償責任を負う事はない。

まず弁護士に相談すれば、まず間違いなく、遺族は相続放棄か示談を薦められます。

そもそも、列車を遅延させる行為は、民法709条の不法行為に該当し、故意または過失によって第三者の権利や利益を侵害した時は、行為者はその損害を賠償する責任があると法律には定められています。それに人身事故は運転事故ではなく、鉄道会社の方には一切の非はないんです。

鉄道会社に非がない以上、普通に訴訟になれば遺族は負ける。だから、弁護士も示談か相続放棄をする戦術を取るのが一般的。

鉄道会社側も、なるべく訴訟を避けようとします。理由は簡単で、鉄道自殺の場合、仮に裁判に勝っても賠償金を取れる確率は高くないからです。というのも、鉄道に飛び込んで自殺をする人の中には、経済的に困窮している方もおられるでしょう。鉄道会社側も、賠償金を払える遺産があるのか調査するはずです。裁判をやって勝っても賠償金は取りようがないと判断すれば、無用な訴えは起こさないと思います。

JR東海の裁判は、電車にはねられ死亡した本人は認知症で、民法709条での責任を問えない可能性が高いと思われます。実際、裁判の争点も、認知症などで責任能力がない人が損害を与えた際、「監督義務者」がその責任を負うとする民法714条を巡るものでした。今後、高齢化社会が進展すれば、同様の事故が多発しかねません。JR東海は、賠償金目的というより、認知症者による鉄道事故の責任を誰が負うべきか社会に訴えかけるため、この裁判を起こしたとも考えられます。

ただ一方で、私は、「列車を大きく遅延させると、鉄道会社から億単位の莫大な賠償金が本人や遺族に請求される」という考えは、鉄道自殺の抑止効果という意味で、それはそれで意味があったと思うんです。鉄道事故の処理は本当に大変なんです。条件次第では何十万人に影響を与えます。ご遺体の扱いも想像を超える大変な仕事です。しかも一刻も早く運行を再開せよと言われます。