マウンドは自分の演じる場所ですから。それなのにさ、よだれ垂らして行かないで何しに行くの? と思って。ビクビクしながらマウンドに行くんなら、それはもう行かないほうがいいだろう。
ベテラン・若手ではなくて、その選手の核というか、要するに、その人が持っている器だと思いますね。
年齢、あるいは経験、そういうもので培われることも多少はあるでしょう。でも、本質的には、その人の持っている器があれば、糸井さんのおっしゃる「接戦上等」を理解して、勇敢に戦っていくでしょうね。
ポジティブに考えることは大事だと思います。それと、自分を疑わないこと。自分を疑って試合に臨む、結果が出ていないのに結果のことを考える、それはいけません。
練習のときにはね、疑心というものは多少あってもいいですよ。「なぜかな? なぜかな?」と考えて「あぁ、こうだからだ!」とわかるから。
問題意識ですね。
それでも試合になったらね、自分を疑う心がある選手というのは、プレッシャーかかって辛い想いをするだけ。
本当に自分を疑った人たちが集まったチームというのは弱いですよ。それはイコール、チームを疑っているわけですから。
自分やチームを疑わないで、「ようし!」と、ワンゲームの2時間半、3時間、このときぐらいは何も疑うことなく、戦いに臨むというのが必要でしょう。自信満々ということではないけれども。
「陰」なんていうものはね、出たときに考えりゃいいんですよ。失敗なんか、起こったら考えればいい。しかしね、伸びてこない選手っていうのは、失敗が起きる前から考えてしまうんです。
光が強いほど、影も濃くなりますもんね。
- ですです、ですです。悪いことはね、起きたときに考えりゃあいいんです。
失敗なんて怖くもなんともない。失敗が怖いと思うときは、自分を疑っているということですからね。
監督として経験してきた中で、悪いことは、悪いことが起きたら考えようと。悪いことも起きていないのに、悪いことが起きたかのようにミーティングしたり、教育と称して伝えたりしてもね、決していいものは残らないような気がしますね。
勝負の世界だから、状況として、いいことと悪いことの、どっちかが出るわけです。当然、悪いほうが出ないように戦うけれども、悪いほうに出てしまったとしても、それに対して、とやかく言っても仕方がない。ゲームが終わった後だとか、あるいはゲーム中であっても過去のことですから。それはたとえ3分前でも過去のことなんです。
失敗に対しては(ポン、ポンと膝を2回叩いて)「次、こうしようか!」って。「あのときもこうだったろう? だから、今度はこうしていこうか」ということだけを伝えるだけなんです。そうじゃなきゃ監督なんかやってられませんよ。
心配事ばっかり考えていたらね、チームを引っ張っていく、あるいは、チームを操縦していくというのは難しいです。