広告漫画を自分のツイッターに載せてお金をもらうことのあるWEB漫画家です。
同業者の知り合いも多数。
今回の件には関わっていないものの、代理店と言われてる会社とは何度も仕事したことあるので
なんとなく今回の作家側の感覚が想像できるのでそれを書く。
あくまで想像の話だし、暴露というような深い内容ではない。
また今回の作家に対してやはりここまで叩かれるのは可哀想だという同情もあり、これが擁護の話であるのは否定できない。
そもそも今回の案件、これまでの依頼と同じような形で自分に話が来たら受けていたかもしれないし、
ステマだと気づいて止められるかと言われたら、ちょっとわからない。そういった反省も込めて書いています。
まず、やしろあずき氏がツイートしているように
共通のハッシュタグがあればPR漫画として受け取られるだろうという認識は多分ほとんどの作家にあって、
ステマをしている意識はなかっただろうということは、個人的には結構な確信を持って言える。
あれは詭弁や言い訳に聞こえるかもしれないけど、実際ツイッターのWEB漫画家として仕事しているとそういう認識になるのはマジ。
それが一般感覚と大きく外れているから今回問題になったと思うし、
これから企業も代理店も作家も意識を変えていかなければいけない部分だと思う。
ほんとにこれまでちゃんと気づいてこれなかった自分も片棒担いでいた部分あるなと反省し、自戒しています。
ステマはダメだというのは、ほとんどの作家の感覚としてあるはずなんです。
最初からPRという体をとらないでくださいと言う代理店もゼロではないけど、多くの作家はそう言われると断るはず。怪しくて不安だもん。
そもそも大きいPR漫画案件を受けていること自体がステータスになる業界なんで、おおっぴらに広告漫画を描くのはWEB漫画家として歓迎すること。
同業者と仕事について話す機会は多いけど「実はあの漫画、広告なんですよね〜」みたいな話は聞いたことない。
(ツイッターに個人的に載せているように見えるストーリー漫画に、出版社が出版を前提として原稿料を出しているというのはよく聞くけど。)
とにかく今回参加してる作家は、おそらくほとんどがステマと思わずしっかりとしたPR案件として受けていたし、
そう思って投稿している。はず。
ということで、作家側からみた、こういう広告WEB漫画の仕事の流れを説明します。
あくまで自分の体験ベースなので、今回の案件がこうだとは限らない。
ほんとに今回は最初からみんなでステマしましょうと言ってるかもしれない。さすがにそれはないと思うけど…
また、今回話題になっている代理店以外にも同様の事業を行っている会社はたくさんあって、
これは特定の会社との話ではなくあくまで自分が今までマトモだと思ってきた代理店との一般的な仕事の流れです。
まず代理店から「こういう商品やサービスの感想漫画描いていただいてツイートすると○万円ですが、いかがでしょうか?」と聞かれ、
条件が合えば受けるという形でスタートする。
何度か仕事している代理店相手ならLINEやメッセンジャー、DMなどでまず概要を教えてもらい、承諾すれば正式にメールが送られてくる形が多い。
依頼メールの時点で「投稿文にPRを明記するということ」が書かれていることはあったりなかったりなんだけど、あんまりそこは気にして見ない。
どういった投稿文になるのかはこの段階で作家側から確認することはほぼないと思う。過去の商品PR漫画と同じような感じなんだろうなと思うだけ。
これが甘いと言われたら本当にそう。
そのあと実際に商品やサービスを体験し(ものによってはしない場合もあるけど今回は映画なので試写会に行く)
ネームを描いて代理店に提出し、クライアントOKが出たら作画に入る。
この段階でこれがステマかどうかを疑うということを考えることはない(だって普通ステマなんてするわけないんだから)ので作画し提出する。
広告案件の性質上細かい修正は多いし、前提の流れが大きくひっくり返されることがあることもある。
そんなNG表現聞かされてないぞってことが出てくることもある。
だから、もしここで「漫画の中で試写会に招待された感を出さないでください」という戻しがあったとしても
自分だったら「今回はそういう表現を求められてるんだな」と疑いなく修正したと思う。
面白い漫画にしたいのは当然なんだけど、読者より広告主のことを優先してしまう部分は確実にある。
それでやっと投稿文についての話になるんだけど、
作家が投稿する文面(〜を観て感想漫画描きました!みたいなやつ)を自分で考えて送り、
代理店から「では、こういうハッシュタグをつけてこの日時に投稿してください」と指定される。
場合によっては先に代理店から投稿文が送られてくることもあるかな。
で、ここで「ハッシュタグの指定」をなされている時点で、自分は完全にPRだと考える。多分他の作家も。
同時刻に一斉同ハッシュタグで盛り上げる、という形のツイッター広告施策の事例は(漫画だけじゃなく)何度も見てきたし、その場合PRはつけない。
ハッシュタグは誰だって使うものではないのか?という指摘はもっともなんだけど
指定されたハッシュタグは企業が決めた特別なハッシュタグなので、広告用だよなと思ってしまっていた。
更に時刻が指定されるってことは同じ案件受けてる人が一斉にやるし広告だって分かるよな〜とも思う。
というか、そもそも仕事として一ヶ月くらいやり取りして作画が終わった後なのであんまり深く考えないであとは投稿だけだと安心してしまう部分もある。
(拡散されるかは多少気にはするけど、お金はPVではなく一投稿につき発生するのでそれも深く考えない。拡散されて漫画読んでもらえたらいいな、ってだけ)
本当にこの感覚は今考えると危うい。広告漫画は一度投稿すると自己判断では絶対に消せないものだし。
自分は今回の件が炎上するまで、なんとなくでやってきた。
ツイッターのWEB漫画家って好きに漫画を載せていたらフォロワーが増えて、
仕事の話が来るようになったちょっと絵が描くのが好きなふつうの学生や主婦、会社員も多くて、
そういう人たちが「ステマはいけないよね〜」くらいのふわっとした知識でいきなり大企業の広告を、
よく分からないまま、趣味の漫画の合間にアップしている人は多い。自分もそう。
しかしお金が発生する以上、もっと作家側が意識を高めないとダメだと、強く反省しました。