ホームレスの心理

「ラジオもあるし、危険なことはわかっていたんだけど、なかなか場所を離れられなかった。

河川敷はそれぞれ、我々のなかで縄張りがあって、先に住んだ人が優先、新参者は煙たがられるし。

集団で暮らしてるところもあるみたいだけど、『物を盗った、盗られた』でトラブルになる。

橋下は雨風を過ごせて一番いいのだが、鉄道関連会社の管轄なのですぐにどかされてしまう。

やっとのことで見つけた場所なんですよ。このあたりに住んでいる釣り人なんかも多くて、皆いい人で、体調を気遣ってくれたり、親切に食べ物をくれたりする。嫌なのは公園で遊ぶ子供くらい。小中学生かな。彼らはすぐに物を投げつけてくるからさ。台風と同じくらい嫌ですよ」

だったらまだホームレス支援センターを頼りますよ。今回も親切に『頼ってくれ』と(センターの職員が)声をかけてくれた。支援センターの人は今までも優しくしてくれて、何度か施設に行ったことがある。でも、自立させようという思いが強いから、すぐに説教が始まって、成功談が自慢話に聞こえてくる。それで嫌になって飛び出してしまった。

こんなときだけ行ったらバツが悪い。でも彼らは受け容れてくれる。どうしてものときは頼るけど、一人でいたくてこういう暮らしをしてるんだから、しばらくの間は空き缶を拾って売って生活するよ」

Aさんはもともと会社勤めのサラリーマンだった、体調を崩し会社を退社した後、環境が変わっていき、数年で今の生活になった。

「あまり働きすぎないほうがいいよ、身体が一番の資本。これから寒くなるからベニヤ板を敷きたいな。テントだけだと夜冷えるからね」