テクニカル分析で重要なことは「勝率の悪いシグナルは、どんどん捨てる」

すべてのテクニカル分析はOdds(確率)のゲームです。
つまり「こういうチャートなら…こうなる確率が高い」というだけ。

そのようなシナリオにならなかったときは「それはダマシだった」ということになります。いかにダマシの少ないシチュエーションを厳選するか?がテクニカル分析に基づいたトレードで勝つ秘訣です。その分析手法がどのくらい精緻でソフィスティケートされているかは、関係ありません。

個人投資家がテクニカル分析に目覚めると、まず「より高度な分析、より難解な分析」を求めがちです。いろいろなロジックをこねくり回し、「自分だけの秘法」を編み出そうとするわけです。

でもテクニカル分析には「ほかの人も同じシグナルを見て、同じ結論に達する」ことで価格がそちらへ動くという色彩が強いため、そもそも皆が見てないシグナルは当たりにくいという法則が働きます。つまりたんなる独りよがり。

だからテクニカル分析で重要なことは「勝率の悪いシグナルは、どんどん捨てる」ということです。

僕の証券マンとしてのキャリアの振り出しは三洋証券でした。僕の上司は吉田さんという方で、吉田さんのお父様は伝説的罫線家、吉田虎禅でした。だから、最初からどっぷりとチャートの世界に浸かりました。

NYに移ってからはゲイル・デューダックというチャーチストとよく仕事しました。ゲイルは全米テクニカル・アナリスト協会の会長さんを務めていた関係で、ラルフ・アカンポーラやアラン・ショーなど、有名なテクニカル・アナリストとの親交がありました。

彼女はトレーディングルームの長い壁に、方眼紙に手書きで罫線を書き込むことを毎日していました。そのチャートは15メートルくらいの長さがあり、来客はみんな目を丸くしていました。

だからチャートは好きですし、チャーチストと絶えず、密接に連携して仕事する機会に恵まれていました。それゆえに、チャートの限界に気付くのも早かったです。

いまでもチャートは必ず見ます。でもチャート「だけ」で判断するような幼稚はことはしません。ファンダメンタルズと併せて、総合的に判断します。