厳密・正確な「良い決算」の定義

「良い決算」とは:

1.EPSがコンセンサス予想を上回る。
2.売上高がコンセンサス予想を上回る。
3.ガイダンスがコンセンサス予想を上回る

この1、2、3全てがパーフェクトにOKな決算「だけ」を指します。ひとつでも取りこぼしがあればそれは「悪い決算」です。

ガイダンスとは来期、または今年通年のEPSと売上高に関する会社側見通しを指します。

これ以外のことは一切カンケーありません。

なお、この「良い決算」の定義は、僕の主観ではなく、ウォール街の常識であり、すべての機関投資家がこれを基準にトレードしています。

決算発表後、株価が急落するケースが良くありますよね? そういう場合、ほとんどが「悪い決算」です。

決算発表後、株価が急騰するケースもしばしば見られますよね? そういう場合、ほとんどが「良い決算」です。

なぜ、そうなるんでしょうか?

そのメカニズムを解説します。

投資の理論に「効率的市場仮説」というのがあります。
それは「良い材料、悪い材料を市場は鋭く嗅ぎ付けて、刻々と株価に織り込んでしまう」という考え方です。

もし「効率的市場仮説」の通り株価がサッサと材料を織り込むのであれば、場で付いている株価は、そのときその時の市場参加者のベストの考えを目いっぱい織り込んでいると考えることが出来ます。そのベストのguess(あてずっぽう)こそがコンセンサス予想なのです。

だから結果がコンセンサス予想とドンピシャなら、株価は動かないと予想できます。

でもビジネスの現実は刻々と変化しているし、経済も刻々と変化しています。だから昨日までは真実だったことが今日はもう真実ではないかもしれない……株価が動くときは、そういうときです。

投資家の(こうなって欲しい)、(こうなるはずだ)という思い込みのことをexpectations(=期待)と言います。そしてそのexpectationsは会社側ガイダンスに従うカタチで形成されやすいです。

つまりガイダンスを出すことで会社側は次の決算に関するゴール(目標)を、自ら設定しているのと同じなのです。

自分で設定した目標を達成するのは自分に他ならないので、これはある意味「八百長野球」のようなイージーなゲームです。

だから自分の設定したゴールを守れない企業は×です。