個人的な視点からみたソシャゲ市況


【昨今のアプリケーションゲーム界隈】

アプリケーションゲーム業界は現在、非常に厳しい状況にあります。数億円規模の資金を投下しても、それを回収するのが難しい時代となっています。スマートフォン黎明期には、『パズドラ』や『モンスト』、『FGO』などが比較的少額(数千万円規模)の予算で成功を収めることが可能でしたが、今ではその状況は大きく変わりました。

とはいえ、バンク・オブ・イノベーションの『メメントモリ』のように、起死回生のヒットを出す例もあります(とはいえ、成功例はほとんどこれに限られます)。ちなみに、バンク・オブ・イノベーション(BOI)は元CAグループ出身であり、Cygamesとも深い関係があることから、ヒットを出す素養がもともとあったと言えます。

これらの状況を見ると、CAグループに関与しているかどうかがヒットの鍵になっているように見えます。『ウマ娘』や『学園アイドルマスター』もその例です。『学園アイドルマスター』はバンダイナムコのヒットタイトルにも見えますが、実際にはCA傘下のQualiArts(クオリアーツ)が開発を担当しており、その影響が大きいです。

ただし、他社の強力なIPがなければ成功は難しいのが現状です。サムザップの『呪術廻戦』も含め、オリジナルIPのみでは展開が困難になっています。Cygamesに至っては、『ウマ娘』を最後にコンシューマー向けゲームにシフトしているように見えます。


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【異国のオタク革新者】

一方で、中韓勢の台頭も目立っています。『原神』や『スターレイル』といった中国勢のオープンワールド作品、韓国NEXONによる『ブルーアーカイブ』、SHIFT UPの『勝利の女神:NIKKE』など、多様で個性的なタイトルが登場しています。これらをローカライズし、流行を作り出したYostarのような存在も見逃せません。

これらのタイトルを手掛ける開発者たちは、かつての日本のオタク文化に憧れた「異国の革新者」とも言える存在です。とはいえ、中国本土では政府当局の規制が厳しく、国内市場が制約される中で、他国への展開を余儀なくされています。その一方で、過酷な労働環境や待遇問題から内部分裂が起こりつつあり、勢いを失いつつあるとの報道もあります。


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【ポケモンカードゲーム】

トレーディングカードゲーム(TCG)業界では、『ポケモンカードゲーム』が圧倒的な勢いを見せています。2020年のコロナ禍以降、コレクション需要や投機的価値が高まり、数千万円で取引されるカードも登場。カードショップが強盗被害に遭う事件も多発しました。

このブームの背景には、YouTuberのヒカキンやはじめしゃちょー、ヒカルなどの影響が大きいとされています。また、マジック:ザ・ギャザリング専門店「ハレルヤ」のトモハッピー氏も、このブームを後押しした要因の一つと言えるでしょう。

秋葉原では飲食店がコロナ禍で大きな打撃を受けた一方、トレカ専門店やコンセプトカフェが増加し、トレカ業界の活況を象徴しています。


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【TCGのアプリケーションゲーム】

TCGのアプリゲームといえばCygamesの『Shadowverse』が有名ですが、最近では評価が低迷。次世代型タイトルの開発も難航しているようです。Cygamesはブシロードと提携し『Shadowverse EVOLVE』を展開していますが、こちらも大きな盛り上がりには至っていません。

一方で、『遊戯王』や『デュエル・マスターズ』といったスマホカードバトルは、ジワジワと売上ランキングを上昇させてきています。


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【伝家の宝刀ポケモン】

こうした状況で登場したのが、『Pokémon Trading Card Game Pocket』です。『ポケモンカードゲーム』の拡張パックが入手困難な状況下で、このアプリはルールを簡略化した「ティーチングアプリ」として大人気に。DeNAにとって久しぶりのヒットタイトルとなりました。

DeNAは、南場会長のリーダーシップのもと任天堂やCygamesとの資本提携を成功させるなど、独自の経営戦略が光る企業です。今回の成功も、そうした基盤があったからこそ実現したと言えるでしょう。


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【次の勝者、NEXT】

現在、スマホゲームそのものが飽きられつつあるのではないか、という指摘もあります。TCGやマーダーミステリーといったアナログゲームの人気がその一端を示しています。

今後の注目分野としては、スマートグラスやAR・VR技術が挙げられます。Meta(旧Facebook)が展開するメタクエストや、レイバンMetaといった製品が一定の評価を得ています。技術の進歩次第では、スマートフォンに次ぐ新たなデバイスが誕生する可能性があります。